2010年9月18日土曜日

Art of life live / X JAPAN (1998)

 人生は誕生によって始まり、死によって終わるものだ。しかしながら、人の一生にはその過程における、幾度の死、復活、誕生(再生)がある。生と死というモチーフ—それは単純な二項対立で語られるべきものではない。
 それゆえ、「Art of life」、(「人生の芸術」とでも訳そうか)を表現するためには、バラードとロック、静と動という対立軸を超えた独自の音楽スタイルが求められていた。 これこそが、X JAPAN 『Art of life』の真髄であり、彼らであればこそなしえた偉業である。


 本作に収録されているライブは、筆舌に尽くしがたい迫力をもっている。それはこのアルバムに収録されている演奏に充ち満ちた狂気によるものだ。YOSHIKIのピアノとドラムから感じられるのはまさに狂気(だが、本来それをこのように一言で言い表すことはできない) であり、それが生と死の躍動をリアルに感じさせるのである。
 X JAPANの歴史の中では、このアルバムは当初『Jealousy』とともに2枚組として発売されるはずであったのだが、YOSHIKIによれば、『Art of life』は『Jealousy』との共存を拒んだという。まるでこの曲自身が生命を持っているかのように形容されるのは、この曲がYOSHIKIの人生の集大成的作品であり、まさに生命を注ぎ込んだ作品だからであろう。ライブ版でそのエネルギーを体感せよ。

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