2010年11月30日火曜日

狂った太陽 / BUCK-TICK (1991)


 モラルハザードや退廃のなかに価値を見出そうとしてきた芸術家達の営み。
 BTの音楽は、その同一線上に、人間が持つ暗黒面を描こうとする。
 それは規律や規制に対する精神的な反抗であると同時に、美の多様なあり方への礼賛である。
 光差すことのない暗黒の世界は、色褪せない。
 
 

一触即発 / 四人囃子 (1974)


 キングクリムゾンやイエス、ピンクフロイド、EL&Pなどが活躍したプログレッシブロックの最盛期において、日本国内でそれらの音楽に比肩するバンドがあった。それが四人囃子である。
 無意味な言葉の羅列と展開の激しい曲構成でありながら、四人囃子の音楽が不思議な心地良さを持っているのは、それが波に漂ようときに感じる「揺れ」と似ているからであろう。
 

新創世記 / GODIEGO (1976)

 日本を拠点として活動してはいるが、実質的な多国籍バンドであり、豊かな音楽的バックボーンに裏付けられた楽曲と堪能に歌い上げられる英語詞が、彼らの音楽を特徴づけている。
 ポップミュージックの代表格として見なされがちなバンドであるが、そのファーストアルバムは独創性と実験性に溢れており、むしろそうした底力こそが、多くの人に聴かれるポップスを作り上げることが出来た秘訣だったことを教えられる。

2010年11月14日日曜日

想 / INORAN (1997)

 いわゆるヴィジュアル系バンドの筆頭格LUNA SEA—このロックバンドのギタリストであるINORANが、このようなアンビエントな作品を世に出そうとは夢想だにしなかった。そのソロワークにおいては、バンドのなかで表現されていた彼の世界が純化し、多彩な表現で奏でられている。
 時代の先端を走っていた彼のミュージシャンは、他のメンバーが華々しくソロ活動を展開する中でも、独自に深く音楽を探究していたのだろう。そんなスタイルが、また彼らしい。
 ブームの背後に揺るぎない音楽的基盤が存在していたことを思わせるアルバム。