2014年3月21日金曜日

ALL FOR ONE The Best Of BLACKMORE'S NIGHT

「リッチー・ブラックモアはキャンディス・ナイトとの出会いにより、ハードロックから転向し、中世音楽へと回帰した」ー「ブラックモアズ・ナイト」に対しては、そのような認識を抱いていた。

だが、実際に音源を聴いて感じたのは、キャンディスの歌声は惚れ込むような心地良さがあり、またリッチーのギターは全く「転向」などしておらず、早弾きこそあまりないものの、ロック・ブルース・クラシックというかつてのスタイルの上に、中世音楽という新たなアプローチが加わったことにより、回帰ではなく発展へと向かっているということだ。

メロディーは現代ではあまり用いられないものがありながら、過去のバンドと遜色無く実に聴きやすい。コンサートは小規模で、商業ベースにはあまり乗りそうではないが、そこには大衆産業化とは異なるリッチーなりの新たな現代音楽への挑戦があるのかもしれない。

2013年6月30日日曜日

HERE I AM / Dragon Ash(2013)

NHK「SONGS」でのライブパフォーマンスが圧巻だった。

クリーンとノイズの交差するHIROKIのギター
アンサンブルの核となるKenkenのベース
Beatを感じさせるDRI-VとATSUSHIのダンス
魂のこもったマコのドラム
厚みを増すBOTSなスクラッチ
そしてKJのヴォーカル

「HERE I AM」が示すのは、文字通り「私は此処にいる」という存在証明の意味と、和訳で云う「ただいま」という二つの意味だ。

それは、IKUZONEの意志と共に、Dragon Ashが再び帰ってきたことの表明である。

憂いの果て その先へ

テレビでの口パクをディスられたDragon Ashは、もういない。

2013年3月17日日曜日

超克 / BRAHMAN(2013)

3.11以降の彼らの活動は、ミュージシャンという枠を超えた、アーティストシップの発露であった。誰かの言葉を借りるのではない、表現者としてのオリジナリティ。言葉と音楽、パフォーマンスが一体となって、そのエナジーが形をなす。シングル盤とは異なるアレンジの「賽の河原」はえも言われぬ衝動を受ける作品で、思わず涙が溢れてきた。Judee Sillの「Jesus Was a Cross Maker」のカバーが収録されているところもBRAHMANらしい。

2013年2月17日日曜日

You had it coming / JEFF BECK(2000)

数多のギタリストにとって、崇拝の的であるジェフ・ベック。 そのテクニカルかつオリジナルなプレイは、ある高名なギタリストをして、「ジェフの音楽をいくらコピーしてみても、その通りには聴こえない」とまで言わしめた。

そんなジェフ・ベックが、いまも第一線で活躍し続けられている理由は何なのだろう。一言で、それは「飽くなき探求」の為だと言うことができる。

1999年発表の「Who Else」におけるジェフのプレイは、なんとデジタルビートとの共演というものであった。それは、多くのリスナーに衝撃を与えたに違いない。「ギターへの拘りが人一倍強いジェフが、まさかテクノを?」と。

だが、その実験的な試みは、2000年の「You had it coming」で見事に成功している。デジタルビートと共に生み出される凄まじいグルーヴ。こんなサウンドを醸し出せるのは、なるほどギターを自由自在に操ることが出来るギタリスト・ジェフを置いて他にいない。

「変わらずにいるためには、変わらなければならない」
進化するジェフ・ベックの姿が此処にある。