2013年2月17日日曜日

You had it coming / JEFF BECK(2000)

数多のギタリストにとって、崇拝の的であるジェフ・ベック。 そのテクニカルかつオリジナルなプレイは、ある高名なギタリストをして、「ジェフの音楽をいくらコピーしてみても、その通りには聴こえない」とまで言わしめた。

そんなジェフ・ベックが、いまも第一線で活躍し続けられている理由は何なのだろう。一言で、それは「飽くなき探求」の為だと言うことができる。

1999年発表の「Who Else」におけるジェフのプレイは、なんとデジタルビートとの共演というものであった。それは、多くのリスナーに衝撃を与えたに違いない。「ギターへの拘りが人一倍強いジェフが、まさかテクノを?」と。

だが、その実験的な試みは、2000年の「You had it coming」で見事に成功している。デジタルビートと共に生み出される凄まじいグルーヴ。こんなサウンドを醸し出せるのは、なるほどギターを自由自在に操ることが出来るギタリスト・ジェフを置いて他にいない。

「変わらずにいるためには、変わらなければならない」
進化するジェフ・ベックの姿が此処にある。

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2013年2月16日土曜日

『方丈記』/ 鴨長明

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。世の中にある人と、栖とまたかくのごとし。

『徒然草』/ 卜部兼好

つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

Toward the way / Toshi(1999)


このアルバムは凄い。
だが、この作品は「いわくつき」の作品だ。なぜなら、彼のいわゆる「洗脳期」の作品とされているからである。
私はX JAPANの作品はインディーズも含めてほぼ全て聴いてきたし、TOSHIのソロ作品もほぼ聴いてきた。一端のファン以上に彼の歌を聴いてきたつもりだ。
その上で、改めて言う。このアルバムは凄い。



 いわずもがな、TOSHIは、X JAPANのヴォーカルである。フロントマンとして、バンドの成功のために、奮闘してきた。だが、X JAPANが栄光を獲得する反面、次第に自分を見失っていったという。 思い悩んだ果て、彼はバンドを去ることを選択し、日本各地を歌いながら巡る旅に出る。

 だが、それは単純な自己否定による逃避ではなく、彼にとって、見失った自分を見つけ出す旅であった。彼は、もがき苦しみながら、真剣に自らに向き合い、歌うことで自分自身の存在を確認しようとする。そのプロセスは、ビートルズを離れたジョン・レノンやビーチ・ボーイズのブライアン・アダムスらの姿と重なる。本作には、TOSHIのむき出しになった魂が込められている。
 
 プロデューサーが誰だ彼だということは抜きにして、リスナーには、その剥き出しの姿に向き合ってほしい。そうすれば、このアルバムがアーティストが自分の内に持っているエネルギーを余すことなく発揮できたときのとてつもない解放的なパワーに充ち満ちていることを実感するだろう。

 そして、TOSHIは帰ってきた。新たな自分を取り戻して。

DARING TRIVAL ROAR / D.T.R(1995)

Voices from the dead - これがTAIJIが見ていた世界だったのか…凄い。

渾身(2013)

「絆や思いやりという言葉だけでは言いあらわせない」

2013年2月3日日曜日

「DEATH MAGNETIC」/ METALLICA(2008)

少年期から、ジャーマン・メタルやNWOBHM、LAメタル、北欧メタルなどを好んで聴いてきたが、スピード競争や、大げさなメロディ、コテコテの演出に食傷気味だったところがある。また、自分の中でもメタル以外のルーツが伸び、多様な音楽に触れるなかで、幅広い音楽の趣味や感性が芽生えていくようになった。そんな経緯もあり、アメリカ系のスラッシュ・メタルやモダン・ヘヴィネスはそもそも敬遠してきた過去がある。

だが、このメタリカのアルバムに触れたことで、自分の中で新しい扉が開かれたかも知れない。ジェイムス・ヘットフィールドのリフ、カーク・ハメットのソロ、ロバート・トゥールジオの太いベースに、ラーズ・ウルリッヒのヘヴィなドラム。これらのアンサンブルから生み出されるグルーヴにも似たヘヴィネスの心地良さ。いまなお第一線で活動し続けるレジェンドの音楽は、昔の印象と違っており、勢いだけではない「大人のヘヴィメタル」を感じるものだった。


「永遠の詩(狂熱のライヴ) 最強版」/ LED ZEPPELIN (1976 / 2007)

LED ZEPPELINの残している数少ない公式のライブ音源。レコーディング時の音質に強くこだわっていたというペイジのお陰で極旨のサウンドを味わうことが出来る。これを聴けば、レスポールとマーシャルを用いたジミー・ペイジのギターサウンドがその後のロックの指針になっていることがよく分かる。1曲目「Rock And Roll」のイントロが流れた途端、全身の血管を渡るがごとく、倍音サウンドが流れ込んでくる。