2013年2月16日土曜日

Toward the way / Toshi(1999)


このアルバムは凄い。
だが、この作品は「いわくつき」の作品だ。なぜなら、彼のいわゆる「洗脳期」の作品とされているからである。
私はX JAPANの作品はインディーズも含めてほぼ全て聴いてきたし、TOSHIのソロ作品もほぼ聴いてきた。一端のファン以上に彼の歌を聴いてきたつもりだ。
その上で、改めて言う。このアルバムは凄い。



 いわずもがな、TOSHIは、X JAPANのヴォーカルである。フロントマンとして、バンドの成功のために、奮闘してきた。だが、X JAPANが栄光を獲得する反面、次第に自分を見失っていったという。 思い悩んだ果て、彼はバンドを去ることを選択し、日本各地を歌いながら巡る旅に出る。

 だが、それは単純な自己否定による逃避ではなく、彼にとって、見失った自分を見つけ出す旅であった。彼は、もがき苦しみながら、真剣に自らに向き合い、歌うことで自分自身の存在を確認しようとする。そのプロセスは、ビートルズを離れたジョン・レノンやビーチ・ボーイズのブライアン・アダムスらの姿と重なる。本作には、TOSHIのむき出しになった魂が込められている。
 
 プロデューサーが誰だ彼だということは抜きにして、リスナーには、その剥き出しの姿に向き合ってほしい。そうすれば、このアルバムがアーティストが自分の内に持っているエネルギーを余すことなく発揮できたときのとてつもない解放的なパワーに充ち満ちていることを実感するだろう。

 そして、TOSHIは帰ってきた。新たな自分を取り戻して。

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