2010年9月14日火曜日

『レオン』(1994,フランス・アメリカ)

 沈着冷静・冷酷無比。何時でも依頼人の命に従い、着実に仕事を片付ける。殺す相手に同情などせず、依頼人への無駄な詮索もなしだ。そこには過去も未来もなく殺しだけ唯一の存在証明となる。ヴァイオレントな日常でさえも、彼には無機質なものでしかない。
 そんな彼の生活をマチルダとの出逢いが変える。寸分の狂いのない生活に突如現れた彼女の存在に戸惑いを覚えるレオン。だが、次第に彼は彼女を諭し、慰め、守っていくことになる。そして互いの思いは深化していく。
 「初めて生きてるって気がする。一緒にベットで寝て、床に根を張って、二人で生きよう」
 「愛してる、マチルダ」「私もよ、レオン」

 この映画を観たのはもう何年も前である。もちろん細部にいたっては記憶の曖昧な箇所もあるが、にもかかわらず、いまだに鮮烈な印象を忘れることはできない。それまで見てきた映画の中でも、最も純粋で美しい映画だった。

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