2010年9月18日土曜日

冷静と情熱のあいだ (2002)

 イタリアと東京。この二つの都市は、色あせぬ理想と足下の現実を象徴しているようにも思える。永遠といま、世界はその二つをつなぐ過程のなかで起きるドラマだ。
 この作品は、その普遍的な物語、耽美な音楽、優美な映像、どれをとっても妙なる出来に仕上がっている。
 俳優人の演技も印象的だ。親子の確執や将来への不安のなかでもがく順正(竹内豊)は、青々しい幼さを漂わせながら、そのひた向きさを強く訴える。また、母語ではない日本語であるがゆえ、必死に思いを伝えようとするアオイ(ケリー・チャン)の姿は、哀切極まりない。
 すべてが一体となった総合美、これぞ映画。

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