2010年10月16日土曜日

The Last Live / X JAPAN (2001)

「伝説」という言葉が存在する。遥か彼方に存在した偉大なる人々の逸話。語り継がれてきたその歴史は、もう二度と再現されないが故、壮大なイメージを現出し、後世にも大いなる影響を及ぼす。
 この「伝説」という言葉が、現代の音楽史上に当てはまるとしたら、それはまさしくX JAPANそのものに対してであろう。クラシック/ブルース/ヘヴィメタル/パンク/サイケ/プログレ/インダストリアル•••。幾多のジャンルをクロスオーバーし、そして音楽だけではなく、ヴィジュアルを含めた五感全てに訴えかける芸術を表現したのが、XというバンドのXたる所以である。

 1996年。HIDEが言ったように、Xが「年末に東京ドームで演るだけのバンド」になっていたのは否めない事実だ。様々なトラブルを抱え、うまく前に進めなくなった状態が長く続いていた。その重さは表に出てきているものだけを見聞きしていても、察して余りある。
 だが、様々なトラブルや打算、そんなことは抜きにして、彼らはそもそもミュージシャンであり、アーティストであり、苦楽を共にし夢を分かち合ってきたロックバンドなのだ。そのX JAPANの根源を、このラストライブでは改めて感じることができる。挫折や失敗も含めて全てが魅力的で、感動的なのである。
 今でこそ言えるが、Xの解散後、長い間このアルバムを聴くことが出来なかった。だが、「伝説」が再び蘇ったいま、もういちどあの瞬間を分かち合うことは、必ずや苦難を乗り越え夢を掴むための糧となろう。 
 そして、X JAPANは更なる「伝説」を創り、その物語は永遠に語り継がれていく。

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