2012年5月13日日曜日

薔薇と緑 / 北野井子 produced by YOSHIKI (1997)


YOSHIKIは、Violet UK の構想を「危ないくらいの殺気立ったノイズと凄く美しいメロディーを混合した音楽」であり、「すごい世界が表現できた」と語っている。しかしながら、それが完成品として流通している例は数少ない。

それは、完璧なものを追求する徹底的な美意識と、X JAPANの解散とHIDEの逝去により受けた精神的喪失が、Violet UK の作品が世に出る機会を奪ってしまったからだと考えられよう。


だが実は、X JAPANの解散とHIDEの逝去の狭間、Xの先の新たな次元に進もうとしていたわずかな期間に、彼はあるアーティストのプロデュースを行っている。

そこで表現されているのは、デジタルなビートと耽美な旋律が融合する音楽、まさに彼がViolet UK でやろうとしていた音楽が凝縮されている。

私がこの音楽を聴いたのは、発売後10年以上経ってから、Violet UKの作品も幾つか公表された後であった。だが、むしろ、10年以上という時間を経て、振り返って聴かなかったとしたら、この作品の魅力には気付かなかったかもしれない。

年月を経て、ようやく彼の音楽の先駆性にキャッチアップしたとともに、廃れることのない永遠のメロディに改めて心奪われた。

YOSHIKIの見据えていたは射程は計り知れない。

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