2011年4月9日土曜日

VANISHING VISION / X (1988)

五感を切り裂くXの狂気!

YOSHIKIの世界観をTOSHIのヴォーカルが表現し、HIDE・TAIJIのアレンジが冴え、PATAの演奏力が支える。Xの到達点にして出発点であり、まさに5人の音楽性が一体となったダイヤモンドのような作品だ。

YOSHIKIはアルバムを制作するにあたり、自らレーベルを立ち上げ、プレスからプロモーションに至るまでの全ての作業を自分たちで行った。これぞ最強のインディーズバンドによる最強のインディーズアルバムである。

 最近になって、「VANISHING VISION」とは、『「幻影が消えていく」イメージであり、当時は色物バンドと見られていたXの表面的なイメージが消えて核が見えてくる状況を表現したとYOSHIKIは語っている』(Wikipediaより)という事実を知った。
 当時Xはバラエティ番組であることも厭わずメディアに露出し、過激な煽動をしていた。そんな彼らのやり方は、業界からは忌み嫌われるものであったが、結果として見事に功を奏し、Xのサウンドを世に広めさせた。後日「ヴィジュアル系の元祖」と称されることとなる彼らのスタイルは、本能的でありながらも、非常に戦略的な面をもっていたのである。
 そして、すべての伏線を回収するかの如く、満を持してリリースしたアルバムのコンセプトを、自らのイメージを打ち砕く「VANISHING VISION」とするとは、何たる大業か。その卓抜さを改めて思えば、一種の戦慄すら覚える。

付言すれば、このCD盤には、
・EXC-001(通称「黒盤」)
・再発版EXC-001(通称「赤盤」)
・XXC-1001(通称「リマスター復刻盤」)
の3種類が存在するが、聴き比べてみても顕著な違いはない。
XXC-1001がリマスタリングされているというのは都市伝説ではないだろうか。

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